「小さなチームのエンジニア」にとっての英語

をタイ出張の合間に読みました。

この手の話は本当に文脈次第なので「全て」というのは少し言い過ぎかなぁ、と思いつつ、でも「小さなチームのエンジニア」にとっては、元エントリとはまたちょっと違う視点から、今後英語の必要性は高まるかもしれないなー、と思ったのでツラツラと書いてみます。

昨年の春に、台北で開催されたスタートアップウィークエンドにテクニカルメンターとして参加させていただいた時のこと。たまたま最終日にジャッジに加わらせて頂くことになり、最後ピッチを聴いていたのですが、何組かは中国語で発表されていて、会場は盛り上がってはいるものの中国語の分からない僕にはどんなことを伝えたいのか理解することは出来ませんでした。

ジャッジをさせてもらうことになった手前、何とか理解したいなと思いつつも発表資料だけでは限界があり、申し訳ないながらも、良い悪いといった「評価すらできない」という結果として回答した記憶があります。確か僕以外にも同様に中国語がわからない方がいらっしゃって、彼らのサービスはジャッジ間で話題にあげられることは残念ながらありませんでした。

これは、英語を母国語としない外国人として

  • インターネットを通じてサービスを提供するものにとっての英語の重要性

を、英語を母国語としない国にいながら再認識させられる、という不思議な体験でした。

ざっくりインターネット人口が 20 億人いるなかで、英語を利用するユーザは 1/4 強です。

ヌーラボ代表の橋本さんの言葉で、僕が好きなものに「僕らは "海外" にものを売ろうとしてるんじゃなくて、"インターネット"でものを売ろうとしてる」というのがあります。そうなると最大のパイである英語圏は無視出来ないものである事は自明です。

クラウドスマートフォンといった全世界に展開するプラットフォームのおかげで、小さなチームでも世界のインターネットユーザをターゲットにして挑戦できる時代がやってきています。例えば 100万ユーザを獲得する場合、日本語圏のみをターゲットにした場合は全体の 1% を取らなければならないけれど、英語圏も含めて考えると、0.2% を取ればよい事になります。勿論、現実はそんな簡単な数字の話ではありませんが、国内の並みいるビッグプレイヤーと同じ土俵で戦うより、後者のほうが小さなチームにとっては現実的に戦っていける土俵であるように感じています。実際 AWS のユーザグループの中にも、小さいチームでも世界を見てる人達は少なくありません。

僕自身は、Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方 で語られているような「小さな ISV」が沢山存在している状態になっていくと、エンジニアにとっても、より面白いくて、エキサイティングな業界になるんじゃないかなぁ、と思ってます。作り手が

  • 何を作るかを考えるところからはじめ、
  • 実際にモノを作り、
  • どう届けるかを考え、
  • そしてユーザに届けて、
  • 最終的に対価を得る

という全体に関わるには、やはり小さな ISV のほうが向いています。エンジニアリングそのものも十分エキサイティングで魅力的ですが、「自分が作るもので何を生み出したいか」という視点のあるなしは、そのエンジニアが生み出すものの魅力を大きく変えうる要素だと思っています。

そして、その視点を育むには、泥臭いながらも時にはユーザの声をきき、時には障害と戦い、時にはリリース案内の文章を考え、時にはイベントで製品紹介をする、といった様々な事をエンジニアが「自身の仕事」として引き受ける事が必要だと思っています。正直いえば「エンジニア」としては面白くない仕事もあるでしょう。ただ、それを積み重ねることが良いプロダクトを生み出すための感性を育むという事を、入社以来ずっと一緒に仕事をしてきたヌーラボの同僚の姿から僕は教わりました。

そういった小さなチームが「インターネット」でものを売る場合、エンジニアも社内外問わず「伝える」役割を担う場面が必ずあります。そして、伝える相手は「インターネット」=「英語」です。英語もプログラミング言語と同じで積み重ねでしか上達しないものですので、普段から少しずつでも自分にあった形で英語のトレーニングをすることは、小さなチームのエンジニアにとっては必要性が高くなるのでは、と冒頭のエントリを読んで改めて感じました。

まだ模索中で成果もあやしいですが、この四月くらいから試行錯誤しながら僕自身が取り組んでる英語学習のやり方を機会あればまたエントリにあげてみたいと思います。