ザッツ・スタートアップな一年を振り返る

f:id:tksmd:20171002233114p:plain (この一年の GitHub の contributions )

前回エントリから丸一年、主にプロダクトや技術領域におけるハカルスのこの一年を非公式に振り返ってみたいと思います。

目次

  • チームビルディング期 (10月-12月)
  • MVP 構築期 (1月-3月)
  • データ解析サービス立ち上げ期 (4月-6月)
  • サービスブラッシュアップ期 (7月-9月)
  • ふりかえりと次の一年

チームビルディング期 (10月-12月)

ハカルスジョイン後の最初のミッションは、それまでにあった iOS アプリのバージョンアップ ( 社内では v2 プロジェクトと呼ぶ ) でした。バージョンアップの主な目的は法人向けへのサービス切り替えのために、それまでの「フリーで使えて(基本は)スタンドアロンなアプリ」を、「認証を通す、サーバに確実にデータが保存されるアプリ」にする事が必要でした。そのために既存のモバイルのコードベースは一部流用しつつも、モバイル・バックエンドほぼ全てを置き換えることになりました。

僕のジョインよりほどなくしてフィリピンにチームを立ち上げ、バックエンド開発をフィリピン、モバイルの開発を日本、という体制をワークするようにプロセスを整えたりチームビルディングも並行して行っていました。この頃はフィリピンのメンバーも不安あったろうし、僕のジョイン前から開発をされていたモバイルチームも経緯をよく知らない新 CTO に戸惑いがあったんじゃないかと今に思えば感じるところがあります。

この頃のニュース

MVP 構築期 (1月-3月)

まず年初 1 月に iOS アプリ v2 の初期版をリリース。このリリースでは食事記録機能のみでしたが、それでも食事指導、レシピの推薦といった基本形をこの時期に立ち上げたことはメンバーの底力と頑張りを改めて感じる次第です。その後 iOS アプリは運動記録や体重記録 ( OMRON connect 対応なども ) を着々と進め、また 3 月には Android 版とクラウド版もローンチを行い、法人向けサービスの MVP が一通り整ってきたという感じでした。

1月にフィリピンメンバーを初めて日本に招き 2 週間ほど一緒に仕事。厳寒の京都はかなり応えた模様でした。チームとしてはお互いの得手不得手などが見えてきて、開発チームの「チーム感」がこの頃くらいから出てきたように思います。3-4 ヶ月はチームが馴染むのに必要な時間で、それは日本人・外国人で特に変わりはないのだな、と再認識。

この頃のニュース

データ解析サービス立ち上げ期 (4月-6月)

サービス開発にあわせてスタートした営業活動の中で、ハカルスで利用している技術そのものにも興味を示していただける事が多かったことから開始したデータ解析サービス。新聞・業界紙など幾つかのメディアで取り上げていただいたおかげでインバウンドでのお引き合いが多く、案件をこなす中で社内で共通に使われるライブラリも少しずつ整ってきています。この時期にハカルスの食事解析を別の形で切り出した Web API 開発にも着手しだしました。

モバイル及びクラウドがある程度形が定まったこともあり、この頃から僕自身はそれらのコードを書くことは基本なくなりました。代わりに営業支援、データ解析サービスの立ち上げ、採用活動にウェイトをうつし出しました。この辺りの作業ウェイトの変遷が GitHub の履歴にも現れています。

この頃のニュース

サービスブラッシュアップ期 (7月-9月)

Hacarus for RELO CLUB の提供をはじめたり、フィリピンサイドにメンバーが増えたり、一歩ずつモバイルアプリの機能改善を進めていました。また、まだ公開していませんが、この冬くらいにお目見えする予定の新プロジェクトにも着手しています。技術的には Kotlin 採用を決めて一部置き換えをはじめたりもしています。

法人様向けの案件が増えてきたこともあり、このあたりには特にプロジェクト管理に力を割くことが増えてきました。

この頃のニュース

ふりかえりと次の一年

特に狙ったわけではないのですが、プロダクトや会社のフェーズにあわせて三ヶ月ごとくらいに少しずつロールを変化させながら一年がたちました。また、今月から現地にプロジェクトマネージャがメンバーに加わり、これまでの仕事を委譲していくので、次の三ヶ月はまたきっと違うものになるでしょう。

この一年は、いわば B 向けサービスのリーンスタートアップを粛々とやったのですが、「リーンスタートアップ、言うは易し、行うは難し」を体感しきりでした。改めて認識したことの一つが「リーンスタートアップ」の考え方は、特にその初期は「より良いものを届けたい」というエンジニアの気質に反する、ということです。経験を積んだエンジニアであれば、「もっとこうすればよくなる」点が生まれたてのプロダクトには沢山目につきます。その状態で、ユーザさんの目の前にだしフィードバックをもらうという行為は、わかってはいても「本能に反する」ので、中々にしんどいです。

これまでの体験からリーンスタートアップの有用性を信じているので、なんとか「本能に反する」ことも僕はできましたが、もしこれから初めて「リーンでプロダクトつくるぜ」っていうエンジニアの皆さまには、この認識だけでもあれば、少しは楽になるんではないかと思います。ともあれ、粛々と続けてきた結果がいよいよ実を結びつつあるのを感じています。おかげさまで幾つかのプロジェクトも走りだし、それを通じてプロダクトをガンガンと磨いていくことで、サービスがより良いものになる感覚を強くもっています。

20代の若手 CTO に比べると、体力では勝てないですし、特化した技術力ではなかなか戦えないおじさん CTO で、プロダクト開発面では優秀なチームメンバーに本当に支えられている一方で、経験に基づいた判断速度や、人への頼り方、開発の優先度の付け方へのバランス感覚、みたいな部分は、これまでのキャリアに裏打ちされていると思うところではあります。「米ベンチャー成功者 大学出たてより30~40代が多い」みたいな話もあり、40近くのおじさんエンジニアに、ベンチャー CTO というのはマネージャーやシニアエンジニア以外のキャリアパスの選択肢になり得るんじゃなかろうか、と思ったりもしています。

さておき、来年に向けては、(あくまで、まだ個人的にですが)技術サイドとして「サービスの徹底的なブラッシュアップ」「グローバル展開」「データ解析サービスのプラットフォーム化」といったところに注力できれば、と考えています。また採用計画なども練った上で適宜応募も開始していくことになると思いますので、こういったフェーズのベンチャーで腕試ししたいエンジニアの方がお近くにおられましたら、ぜひご紹介ください。来年一年は怒涛になるとは思いますが、かなり技術的にも、会社的にも面白いことになる感覚がありますので、なにとぞ! (個人的に twitterfacebook でご連絡いただくでも構いません! )