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卒業

卒業 (新潮文庫)

卒業 (新潮文庫)

季節で選んだ、という訳ではないのですが、「流星ワゴン」「疾走」の重松清さんの本を読みました。これもスタックに積まれていた一冊。短編が四編収録されているのですが、全編タイトルの通り人生の様々なフェーズでの「卒業」をテーマにしたものとなっています。むしろ「卒業」というよりは、重松さんが解説で自分でもお書きになられているように新しいスタートを感じさせるもの、「再生」に近いニュアンスを僕は感じました。

ようやくなのか、今更なのかわかりませんが、いつごろからか、時に「閉塞感」といわないまでも、自分自身や周りの環境に大して「上手くやれていない感」を感じることが時折あります。

その影響かもしれませんが、自分の中でこういった「再生」をテーマにしたものに心ひかれる傾向がある時期から強くなっているようにも思います。他の人から見れば統一感なくみえるかもしれませんが、宮本輝さんの「ドナウの旅人」、田口ランディさんの「コンセント」、村上春樹さんの「ノルウェイの森」、これらを読んだとき、読み返した時に共通して感じる気持ちがあります。「再生」というのは積み上げてきたもの全て捨て去っての「リセット」や、姿形がごろっと変わってしまう「脱皮」ではなく、その時点で苦しさから解放されることはないながらも、今までの自分を踏まえた上で「一歩進む」そういったものだと思います。そして人生のどんな時でも「再生」出来る人の強さを語る物語に心ひかれる、という事は僕も少しは年をとったという事なのかもしれません。

この本も僕にそういう気持ちを感じさせてくれる一冊でした。